チラシ「カタクリの花の咲く頃」(表)

「カタクリの花の咲く頃」

沢内、いのちを紡ぐ道は続く

劇団銅鑼公演 No.40

作/栗木英章
演出/山田昭一

上演時間:1時間45分(休憩なし)

 

カタクリの花は比較的日光の差す落葉広葉樹林の林床に群生し、早春に下を向いた薄紫から桃色の花を咲かせる。春を告げる「スプリング・エフェメラル」の一つ。

スプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)は、春先に花をつけ、夏まで葉をつけると、あとは地下で過ごす一連の草花の総称。

ものがたり

廃屋と休耕田が増え、過疎に歯止めが利かない岩手県西和賀町にある川村家。
家主・文子は出稼ぎに行っている長男・正夫との連絡が途絶え、
娘の道代と孫の満とともに落ち着かない日々を過ごしていた。
ある日、長女・陽子が20年ぶりに突然帰ってくる。
かつてわだかまりを残してこの町を去った陽子。
行きついた土地・名古屋で保健師として人生を歩んでいたが、担当していたお年寄りの孤独死を目の当たりにし、
苦悩と葛藤を胸に、すがるような思いで帰ってきたのだ。
“沢内に行けば、何かヒントがある”
時を同じくして、隣に一人住まいするつねが怪我をしてしまう。
また、かつてホームスティに川村家に来ていた桜井が都会の生活に疲れ、涙ながらに川村家を訪れる。
陽子の帰郷を知って、出稼ぎから正夫も帰ってきた。
つねの長男・光一もつねの怪我を知らされ、東京から娘・未来をつれてやってくる。
数日後、つねの退院祝いの日。
西和賀の現状が語られる中で、陽子がつぶやく。

「沢内は、もう、ないのよ」

かつて、老人医療無料化、乳児死亡率”ゼロ”の偉業の金字塔を打ち立てた沢内。

だが、ここにも日本全国で起こっているおなじような困難があった。

「この町を出て行った者に何がわかる」

幼馴染の言葉が陽子や、西和賀町を出た者の胸を刺した。

つねが言う。

「寒くて、雪が積もったって・・・ここがおばあちゃんの死に場所だ。」

山々の自然と、春を予感する風に包まれて、傷つきながらも逞しく生きる故郷の人たち。

それぞれの思いを抱え、別々の道を歩いていた人々の人生が、交錯する10日間の物語。
その先にある、それぞれの道とは・・・。

 

企画にあたって

岩手県沢内村(現・西和賀町)は、冬は大雪に閉じ込められ、長い間にわたり無医村の状況が続き、村民の生活は貧しく「豪雪」「病」「貧困」の村でした。1957年、村長に就任した深澤晟雄氏は「生命尊重」の理念を掲げ、住民との対話と行脚のもと、様々な困難を克服しながら憲法に基づいた村政をすすめ、1960年に高齢者(65歳以上)の国保十割給付を断行、1962年には全国で初めて乳児死亡率ゼロを達成しました。2005年11月1日、沢内村は隣の湯田村と合併し西和賀町となりました。

「健やかに生まれ、健やかに育ち、健やかに老いる」この旧沢内村の「生命行政」の精神は、今、西和賀町の暮らしの中にあって、保健・医療・福祉・教育など様々な分野で引き継がれ、生かされており、人と人との新たな出逢いも生まれています。しかし反面、廃屋と休耕田が増え、過疎に歯止めがきかない、また、新たな町では人と人との繋がりが薄れてきている現状もあります。

『カタクリの花の咲く頃』は、西和賀町の沢内を舞台にしていますが、日本のあらゆる地域に通じる人々の営みを描いています。

この舞台の登場人物たちは、人生の岐路であったり、歴史を受け継ぎ、守り、発展させることの難しさにぶつかっていたり、進路に悩んだり、新しい命を授かったり、恋をしたり、傷ついたり、この場所でしっかり生きていたりと、紆余曲折しながらも人生を歩んでいる普通の人々です。かつて偉業を成し遂げた深澤晟雄氏のようなリーダーは登場しません。しかし、その普通の人々が、「健やかに生まれ、健やかに育ち、健やかに老いる」町にするため、奮闘します。ひとりのリーダーが指揮をとり町を作るのではなく、そこに住むひとりひとりが、繋がり、話し合い、町づくりをしていく。そんな人づくり、町づくりの物語です。


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supecial thanks

西和賀町・西和賀町教育委員会・NPO法人深澤晟雄の会・NPO法人輝け「いのち」ネットワーク

『カタクリの花の咲く頃』を成功させる会

 
 
 
 
 
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