エイジアン・パラダイス再演によせて(06年パンフレットより)
作/杉本美鈴


 本日は、お忙しい中、エイジアン・パラダイスにようこそお越しくださいました。このたび、沢山の皆様の応援で、エイジアン・パラダイスが再演となりましたことを、この場をお借りして心からお礼申し上げます。
 初演の際、「重いテーマをおもしろく観られた」「楽しんで、そして考えさせられた」というようなご意見をいただき、とても励まされました。
 「中国残留孤児」は知っていたけど、「残留婦人」は知らなかった。日本の国の「国策」で、中国へ渡り取り残された人たちがいた。そして今も、帰国したこの国で苦しんでいる。
 近頃、街に「ガイジン」が増えたけど、あの人たちはどこから、どういう理由で来たのだろう?私が疑問に感じていたこと、知って驚いたことを、他の人たちにも知ってもらいたい、共感してもらいたい、一緒に考えてもらいたい、そんな想いから、この作品は生まれました。
 エイジアンパラダイスは、その名の通り、「理想郷」です。きれいごとと言われようと、私はパラダイスを描き続けて行きたいと思っています。人間は、まず、夢を、理想を、思い描くことで、それを実現してゆけると信じるからです。誰かが空を飛ぶことに、思いをめずらしたからこそ、今、飛行機があるように。
 日本は経済大国と言われていますが、私たちの多くは、ストレスの多い社会で、日々の生活に追われ、自分のことだけで、いっぱいいっぱいだったりします。でも。ほんの少しでも、他の人たちを思いやる、そんな余裕が持てたら素敵ですよね。
どうか、この舞台がそのエネルギーの源になりますように!